|
|
「オタク」を自称していると、日頃自分について語る内容がどうも自虐的になり、
女性にまったく縁の無い「モテない君」あるいは「のびた君的キャラ」を演出して
しまったりするのだけれど、実際はもっとごくごく普通か、自分でいうのもアレだけど、
わりと恵まれているほうだったかも知れないのです。恵まれているかどうかの基準は
良くわからないのですが、参考までに私の過去をふりかえってみたいと思います。
小学生の頃は、男子女子の別無くともによく遊んでいたと記憶しています。2人の女子に
誘われてアスレチックなんかに行ったこともありました。まあ、小学生なので、分相応な
広く浅い友達付き合いを楽しんでいました。中学では持ち前のひょうきんさと気さくな性格ゆえか、
わりと多くの女子からかまってもらえました。この頃私はどちらかと言えば小柄な体格
だったので、発育の早い女子からは、可愛く見られていたのかも知れません。女子の
「まったく、この子は、しょうがないんだから」「ほら、しっかりしなさいよ」みたいな
私に対する態度は、男としての自信を萎えさせたのですが、今思えば、ツンデレフェチも羨む
「萌えシチュエーション」だったのかも知れません。さらに私は「けっこうな
エロス」だという評判が勝手に広まっていて、「本当にいやらしいわね」とか「変態」とか
よく女子から言われました。でも実際は言われるほど性欲が爆発していたわけじゃないし、
ギャグで卑猥なことを言うことぐらいはありましたけど、部活の柔道に打ち込むスポーツマン
的な一面もありましたので、まあ「ふつう」の少年だったと思うのです。そのふつうの少年に
対して「エロい、エロい」と言うのは、女子が私をエロたらしめんとしているようにも受け取れる
のです。なんかもう、そういうプレイってかんじです。きっと「いやーん」とか[エッチ」とか
言ってる女子のほうが私よりもエロなのです。
中学2年の時、同学年の女子から友達伝いに告られて、別れの名所である豊島園に「おためし
デート」をしたことがありました。相手の女子はわりと可愛い子で、まえからちょっと
気になってた子でもありました。部活の朝練で校庭を走っていると、逆方向から彼女も
走ってきて、すれ違う。彼女は卓球部だったのですが、毎朝このすれ違いを繰り返しているうちに
互いに興味を抱いたのかも知れません。このシーンを思い浮かべると、まさに青春って感じが
します。しかし、常日頃女子達から「エロ」だの「スケベ」だの言われ、親からも「お前はバカ」
とすりこまれていたので、私の自己評価は最低。なので、一人の女子から特別な好意を持たれる
ことに、かなり混乱が生じてしまいました。で結局、自信の無さからデート以降逃げにまわりました。
今思うとまったく情けない。下衆な考えですが「なぜやらないんだ?」といまさらながらに後悔することも
あります。そこそこ気になる女子がいて、その女子の方から告白→Vトゥギャザー。これが自然
の流れというもの。しかし・・・しかしこの時の私はいかんせん中学2年生。ぶっちゃけ、
チ○コがまだ鍛えられてなかった。チ○コのステータスがMAXには程遠かったのです。
彼女を応援していたバックの女子達からは、散々こき下ろされましたが、まさか
「チ○コのステータスが・・・」などと言い訳できるはずもなく、ただ黙って責め苦に耐えるしか
ありませんでした。
中学3年の春。ある日の放課後。教科書をかばんの中にしまっていると、机奥から手紙が。
小さく丁寧に折られた手紙。心臓ドキドキ。さっそく人目をはばかって読んでみると
「wataru君は本当にわたしのことが好きなのですか?。こんな私でよかったら放課後
音楽室の前で待っています ○○より」
手紙の主は、私の隣の席の女子。新学年になったとき「あの子、可愛いよね」とクラスメイト
に軽い調子で話したのがきっかけで噂になり、やたらと冷やかされるようになったのでした。
こんな些細なことで、しつこく冷やかすなんて、本当に中学生ってバカだと思います。
でも私もバカでした。彼女の申し出に対して、またもや逃げの一手。またまた大ヒンシュク。
今だったら「どうもすみませんでした。私が余計なことを言ってしまったために、迷惑を
かけてしまって。今年が中学最後の一年なので、楽しく過ごしていけたら幸いだと思っています。
受験のこともありますので、お互いがんばりましょう」くらい言えたでしょうが、ダメですね。
いよいよ高校受験が近づいた頃、仲の良い男子達には「お互いがんばろうな」みたいなことを
言い合って励ましあえたのに、女子に対しては壁みたいなものがあって、そういうコミュニケーション
がとれない。なぜだろうか?。相手を褒めたり励ましたりすると損をするとでも思ったのでしょうか?。
冬、同じ熟に通う女子から「wataru君、なんか変わったね。落ち着いたっていうか、大人になった
っていうか。まあ、良いことだと思うけど」と言われました。確かに以前の様な軽薄さは薄らいだし、
身長も平均くらいには伸びましたけど。私は3年になって急速に根暗になったのですが、それを寡黙に
なったと受け取ってくれたのかも知れません。真相は2年の時までの女子からのチヤホヤが3年になって
パッタリなくなってしまったので、落ち込んでいただけなのです。やはり、告白された側にも誠実な態度は
必要なのです。あまりにもいいかげんな態度でいると、しまいには総スカンになるのです。
しかし、このことは教訓として今日まで生かされることはありませんでした。
高校生になると心機一転、中学3年の根暗キャラを払拭すべく、明るいキャラでスタート。
毎日ギャグ、アホパフォーマンスの連発。「女子からモテなくなって落ち込むくらいなら、最初から
お笑いで生きていこう」と、そう考えたのです。これって「人間失格」げな発想なのですが、
わりと自分自身、肩から力が抜けて高校生活をエンジョイできました。この頃、とにかく人を
笑わせるのが趣味みたいになり、特に意中の女子が私のギャグで笑ってくれるのを見ると、本当に
嬉しくなりました。しかし、飲み会だとか、遊びに行く時に、完全にお笑い要員的なポジション
につかされるのが、少々悔しくて、淋しくなることもありました。自分で言うのもなんなんですが、
女にモテようとして、一生懸命かっこつけている、どの男友達と比べても、私はルックスで
引け劣ってるとは思っていませんでした。が、そういう格好付けを冷ややかに見つめながら、彼等を
嫉妬してたのでした。どういうわけだか、たいしてイケメンじゃなくても、気取っている男というのは
確かにモテるのです。ある友人なんかは3股かけてまして、彼女等と私も合わせてボーリング
センターで遊ぶという暴挙に出たことがありました。3人も彼女がいるなら、一人だけでも今だけ
こっちにあてがってくれよと言いたいのですが、そうはなりません。そんで、そのモテ男がストライク
を出すたびに、3人の女子が拍手喝さい。黄色い声援を送る。私も負けじとストライクを出すのですが、
その時はシラーとしています。私はボーリングはへたくそで、普段平均スコア50前後なのですが、
この時ばかりは神が味方してくれたのか、180出して奇跡の圧勝。しかし、女性陣からの賛辞は
ありませんでした。泣いても笑っても180のスコアを出せたのはこの日だけ。この女性陣の男に
対するあつかいの差は、差別と言って良いでしょう。モラルの欠如というべきレベルだと思います。
本当に不思議です。このモテ男は正直に言ってぜんぜんイケメンじゃないのです。誰に似ているか
と言ったら「少林寺木人拳」の木人って感じの無機質な顔立ちで、なんでこの男がモテるのか、
さっぱりわからない。しかし、あえて分析するなら、まず一人、年下の彼女をゲットしたとする。
そこで、一種のプレミア感のようなものが発生する。そして二人目は一人目の入札競争相手みたいな
ポジションに置く。さらに思わせぶりな態度で3人目に接し、しのぎを削らせる。とても私には不可能
な業だけど、それができる奴がいることは事実。そしてそういう奴にかぎって自分の彼女の自慢を
する。「僕って・・・僕って・・・モ・テ・ル」というのがこの男の口癖。まわりの友達は、そのことに
対して「なんだかなぁ〜」と言って笑ってすましていましたが、私は人知れず嫉妬の炎を燃やしていたの
でした。モテ男やそれに群がる女を軽蔑しておきながら嫉妬する矛盾。真の幸福や安らぎはそこには無いと
感じているからこそ否定しつづけているのだけど、でもまったくモテないのは悔しい。とある
カップルは関係が破綻しかけた時、私をよくダシに使ったことがありました。女のほうが素っ気無い彼氏に
「フンだっ、いいわよwataru君と2人で遊びに行っちゃうから」と言って私に誘いをかけてきます。
で、のこのことその女とカラオケに行く私。こんな感じで、ことあるごとに私は利用されるのですが、
利用された後、このバカップルは仲良くスーパー合体。そして翌日彼氏は、昨晩の情事の様子を私に
克明に説明します。「もうすげーよ。糸引いちゃってさぁ」って、こっちも話の生々しさに引きます。
この悔しさ、淋しさがありながら、どうしてもこの男とは立場を入れ替えたいとは思えません。
高校を卒業したと同時に、元同級生の女子にしつこく付きまとったことがありますが、約一年追い回して
ようやく彼女のほうからこちらに近づきはじめてくると、またもや私は自然消滅狙いで逃げました。
彼女を追っている時は、それはもう真剣そのもので必死になってモーションかけるのですが、振り向かれる
と、急速に冷めていく。25歳くらいの時、友人等で夏の夜祭に出かけたとき、ふと気が付くと
さっきまでいっしょだった友人等が消え、いつのまにか、とある女子と2人っきりのシチュエーションに
なっていたことがありました。私は「あれ、みんなどこに行っちゃったんだろう?」と、キョロキョロ
あたりを見渡したのですが、傍らにポツリと佇む浴衣の彼女を見て「もしや・・・そういう事なのか」と
気が付くや、脱兎の如く逃げ出しました。男としてあるまじき行為かと思われるかも知れませんが、
自分の知らないうちに、友人等でそういう作戦が立てられていたというのが、どうにも気持ち悪くて
しかたがなかったのです。そしてこの浴衣の女子も、なんだかストーカーのようで薄気味悪い。こいつは
妄想の中で私をどうしているのだろうか?などと考えると、鳥肌が立ちます。もう、これが私の性質なのです。
高校の時、彼女がいなくて淋しい淋しいと嘆きつつ、体操部で吊り輪の練習をしている私を遠巻きに眺めている
女子のファンの存在を知っても、ちっとも嬉しいと思わなかったし、逆に気持ち悪がって無視しつづけました。
徒然なるまま過去の自分を振り返ってみると、いまさらながらに驚きました。今まで、女性に
ふられた事や、バカにされた恨みつらみ、そこからくるコンプレックスで頭がいっぱいだったのですが、
実は、ふられたことよりもふったことの方がはるかに多かったことに気が付かされました。けして、自慢して
いるわけではなく、むしろこのことは人生の汚点だと思っているくらいなのですが、まあ、事実は事実として
再認識したに過ぎません。記憶と言うのは時間がたつと、いろいろ歪んでくるものです。
ひとくちに「オタク」と言っても、いろんな種類が存在すると思います。「キモオタ」というのは、
とくに異性から「キモい」と思われるオタクで、生理的にうけつけない印象を与えます。
言い方は悪いですが、「腐ったものは腐臭を放って、それを知らせる」ということと同じです。特に女性の
出産可能な時間はかぎられているので、見込みの無い男には時間はかけられない。そこで、種族保存の装置として
フェロモンを感じ取るセンサーが仕込まれていて、繁殖が可能かどうか嗅ぎわけるのです。はからずも
「キモオタ」からは、異性を苛立たせるフェロモンが漂っており、本人の自覚とは関係なく異性を遠ざけて
しまうのです。なにもかもがフェロモンに支配されているとは思いませんが、湯上りの若い女性から
匂いたつ香りは、狂おしいものがあります。クラクラっときて後先考えずに事を起こしそうになります。
しかし、かつて私が意中の女性とドライブに行った帰りのこと。助手席で眠ってしまった彼女を起こしては
可哀そうと思い、カーステのボリュームを絞ったところ聞いてはならないものを聞いてしまいました。
ズー・・・ズー・・・という彼女のいびきです。私でさえかかぬいびきを聞いて、ハンドルを握る両腕に
鳥肌が立ちました。フェロモンとか関係無しに百年の恋も冷めてしまいました。私の運転が下手という
こともあるのですが、彼女が車に酔ってゲロを吐いたときなんかは、私の顔は彼女以上に青ざめてしまいました。
私は異性を美化し神格化しすぎるところがあるので、いびきだとか、鼻毛だとか、ゲロといった神らしからぬ
粗雑なものを見せられると、ほんとうに幻滅してしまうのです。
こんなことじゃ「オタク」の結婚は不可能なんだろうなぁと思うと、そうでもないケースもありました。
私以上のハードオタクでベルダンディーに憧れる友人は、ベルダンディーとはかけはなれた容姿の女性と
結婚しました。はっきり言ってこの女性はデブで、友人のほうはどちらかというとスラっとした体形でハンサム
なタイプでした。なにゆえ、このような組み合わせが実現したのか?。実は結婚する前友人は、とある女性に
ふられています。そこにデブダンディーが現れ、友人に慰めるように接したのです。で、できちゃった結婚。
友人は、アニメ大好きのハードオタクではありましたけど、結婚願望はあったのです。「願わないことは叶わない
が、願ったことはいつかは叶う」そんな気にさせるエピソードです。友人は「ハードオタク」ではありましたが
「キモオタ」ではなかったということです。ベルダンディーに憧れてるけど、奥さんはデブダンディー。
やっぱり私には理解できません。
もうすぐ40歳という年齢をむかえるにあたって、もう少し生き方を考え直さなくてはならないような気がしてきました。
若かりし頃のあやまちを反省し、異性に対して、もっと優しく接していかなくてはならないと思います。
好意を伝える時も、好意を受けるときも、離れなくてはならない時も、相手の気持ちを考えて接したい。
「キモオタ」にできることは「優しさの追求」。普通の男がモテようとするエネルギーを全て、「優しさの追求」
に注げは、社会に対してなんらかのプラスを生み出せるのではないかと思います。今まではマイナスが多かった
わけなのですが、なんとかして、人に、社会に貢献したいと願っています。それが「キモオタ」の使命。
それが「キモオタ」の羽化登仙した真の姿だと信じております。
|
|